【こどもの森】園での一日を、どう家庭に届けるか──信頼をつくる「見える化」の工夫
今回は、株式会社こどもの森のタイムスケジュールを記事にしてました。保育園内の実際の動きをみることで、お子さんを預けるイメージがわく親御さんも多いのではないでしょうか。
初めて子どもを保育園に預けるとき、多くの親が抱えるのは、うまく言葉にできない不安です。自分の目の届かない場所で、わが子は楽しく過ごせているだろうか。泣いていないだろうか。ちゃんと食べているだろうか。子どもがまだ自分で一日を語れない年齢であればなおさら、その時間は親にとって見えない時間になります。
こどもの森グループの資料には、この見えない時間をどう保護者に届けるかという工夫が、いくつも記されていました。園での一日をどれだけ家庭に伝えようとしているかは、その園が保護者との信頼をどう築こうとしているかの表れでもあります。今回は一人の保護者の目線で、その伝え方の工夫を追ってみたいと思います。
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「見えない時間」を「見える一日」に
こどもの森グループは、子どもの園での一日が保護者にとって見えない時間であることを、はっきり認識しているようです。資料には、わが子が楽しんだ表情や何かを発見した表情など、さまざまなことを園から工夫して伝えていく、という趣旨のことが書かれています。
この、見えない時間を見える一日にするという発想が、園のコミュニケーションの土台になっています。伝える工夫を、大きく言葉で伝えるものと視覚で伝えるものの二つの方向で用意している点が特徴的です。どちらか一方に頼るのではなく、両輪で保護者に届けようとしているわけです。
言葉で伝える──連絡帳とその先の対話
まず言葉で伝える工夫です。連絡帳は多くの園で使われている定番のツールですが、こどもの森グループでは、連絡帳で補いきれないことは職員と保護者が直接やりとりするとされています。加えて、面談も随時行っているという説明があります。
ここで大切なのは、連絡帳だけで完結させていないという点だと思います。文字で書ける情報には限りがあります。子どものちょっとした変化や、言葉にしにくい様子は、直接顔を合わせて話すからこそ伝わることがあります。随時面談に応じるという姿勢は、決まった時期の面談を待たずに、気になったときにいつでも相談できるという安心感につながります。日々の送り迎えの短いやりとりから、じっくり向き合う面談まで、対話の幅を持たせているところに、保護者との関係を大切にする姿勢が感じられます。
視覚で伝える──ボードやスケッチブックという工夫
もう一つが視覚で伝える工夫です。園だよりに加えて、玄関などにクラスごとのスケッチブックを置くなど、コミュニケーションのツールをいくつも用意しているとされています。そこには動画や写真、イラストを取り入れて、子どもの日中の出来事を伝えているといいます。
言葉だけでは伝わりにくいものも、写真やイラストが一枚あれば一目で伝わります。友だちと遊ぶ様子、真剣に何かに取り組む横顔、給食を頬張る表情。そうした一瞬をとらえた映像や写真は、保護者にとって何よりのお土産になります。お迎えのときにクラスのスケッチブックをのぞいて、今日はこんなことをしたのかと知る。その小さな時間が、親と子の帰り道の会話を生み、園への信頼を少しずつ積み上げていきます。一日の様子を伝えるボードという仕組みも、この視覚での共有を支える工夫の一つです。
給食もまた「見える」もの
見える化の工夫は、保育の様子だけにとどまりません。給食についても同じ考え方が貫かれています。こどもの森グループの資料には、見える給食室という言葉が出てきます。衛生的な調理場を保護者が見られるようにするという発想です。
さらに、実際に園児が食べているものをサンプルとして掲示し、毎月の献立を園だよりなどで配布しているとされています。わが子が今日何を食べたのかが目で見てわかることは、食の安全を気にする保護者にとって大きな安心材料になります。作っている場所が見え、食べているものが見える。この透明性は、園が隠すもののない運営をしているという信頼につながります。衛生管理の検査結果を保護者に掲示しているという点も、同じく見せることで信頼を得ようとする姿勢の表れだと言えます。
「おはようございます」と「おかえりなさい」
こうした伝える工夫の根っこにあるのが、保護者へのまなざしです。こどもの森グループの資料には、保護者にとっても、おはようございます、おかえりなさいの言葉で安心できるように、職員一同で家庭もサポートするという趣旨のことが書かれています。
この一文は、園が子どもだけでなく、その後ろにいる家庭全体を支える存在でありたいと考えていることを示しています。見える化のさまざまな工夫は、突き詰めれば、保護者に安心してもらうためのものです。連絡帳も、面談も、スケッチブックも、見える給食室も、すべては親の不安を減らし、わが子を預けてよかったと思ってもらうためにある。そう考えると、これらの工夫がばらばらの取り組みではなく、保護者との信頼をつくるという一つの目的でつながっていることが見えてきます。
「見せてくれる園」を選ぶという視点
園えらびのとき、私たちはつい保育の内容そのものに目を向けがちです。けれども、その内容をどれだけ保護者に伝えようとしているかという視点も、同じくらい大切だと思います。どんなに良い保育をしていても、それが家庭に届かなければ、親の不安は消えません。逆に、日々の様子を丁寧に伝えてくれる園なら、離れている時間の心細さはずいぶん和らぎます。
見学のときには、園がどんなふうに一日を保護者に伝えているかを尋ねてみるとよいかもしれません。連絡帳はどんな内容か、写真や動画は共有されるのか、気になったときに相談できる雰囲気はあるか。そうした問いへの答えの中に、その園が保護者との信頼をどう考えているかが表れます。見えない時間を、どれだけ見えるものにしてくれるか。この視点は、安心して長く通える園を見つけるための、静かで確かな手がかりになるのではないでしょうか。