株式会社こどもの森の、給食が学びに変わる園

園えらびのとき、給食についてまず気になるのは、安全なのか、栄養は足りているのか、といった点だと思います。それはもっともなことで、毎日のことだからこそ土台の安心は欠かせません。けれども、いくつかの園の情報を読み比べていると、給食を安全と栄養の話だけで終わらせていない園があることに気づきます。こどもの森グループの取り組みは、まさにそのタイプでした。

園の説明を読むと、給食を子どもにとっての体験や学びの時間として位置づけようとしている姿勢が随所に見えてきます。今回は一人の保護者の目線で、その食育の中身を追ってみたいと思います。

毎日違うメニューという地道な工夫

まず土台にあるのが、献立を毎月立て、毎日違うメニューを取り入れているという点です。地味に聞こえるかもしれませんが、これは子どもが給食を楽しみにしてくれるようにという明確な意図に基づいた工夫だと説明されています。

同じものが続けば飽きてしまうのは大人も子どもも同じです。毎日メニューが変わることは、今日は何が出るのだろうという小さな期待を生みます。給食が大好きと言って楽しみにしてくれる子どものために、という言葉が園の資料には出てきますが、その気持ちを支えているのが、この毎日の変化なのだと思います。食を楽しいものとして子どもに手渡すことが、食育のいちばんの入り口だという考え方がうかがえます。

絵本の世界を皿の上に再現する物語給食

こどもの森グループの食育でとりわけ目を引いたのが、物語給食という取り組みです。これは絵本の世界を給食で再現するもので、子どもたちの胸をときめかせる時間を大切にしているとされています。

絵本に出てきたあの料理が、今日の給食に登場する。その驚きと喜びは、子どもにとって忘れがたい体験になるはずです。物語の中の食べものが目の前に現れることで、絵本の世界と自分の食卓がつながり、食べることそのものへの興味がふくらみます。読書と食事という、一見別々の活動を結びつけているところに、この取り組みの面白さがあります。単に栄養を摂る時間ではなく、想像力を刺激する時間として給食が設計されているのです。

世界と日本の食文化に触れる時間

食を通じて視野を広げる工夫も用意されています。ひとつは世界の料理で、世界にはどんな食文化があるのだろうという問いかけを通じて、子どもたちの興味や関心を引き出すことを狙いとしています。もうひとつは郷土料理で、日本各地で食べ継がれてきた料理を知り、食文化を大切にする心を養うことを目的としているとされています。

この二つは方向こそ違いますが、根っこは同じです。目の前の一皿の向こうに、それを生み出した土地や人々の暮らしがあることを、子どもが自然に感じ取れるようにするという発想です。世界の料理は外へ、郷土料理は自分たちの足もとへと視線を広げます。給食が地理や歴史、文化への入り口になっているわけです。幼いうちからこうした体験を重ねることは、食べものを味わう力だけでなく、多様な文化を受け入れる感性を育てることにもつながっていくのだと思います。

自分で関わることで深まる食への関心

食育というと、大人が用意したものを子どもが受け取る場面を想像しがちですが、こどもの森グループでは子ども自身が食に関わる機会も設けられています。各クラスに合わせたクッキング保育や、給食のお手伝いがそれにあたります。

自分で作ったり手伝ったりしたものは、格別においしく感じられるものです。野菜を切る、生地をこねる、配膳を手伝う。そうした小さな関わりの一つひとつが、食べものがどう作られるのかへの理解を深め、作ってくれた人への感謝の気持ちを育てます。クラスの発達段階に合わせて内容を変えているという点にも、無理なく取り組めるようにという配慮が感じられます。受け身ではなく、自分ごととして食に向き合う経験は、子どもの心に長く残っていくはずです。

家庭とつながる食育

食育の工夫は、園の中だけで完結しているわけではありません。保護者向けの給食試食会が用意されているほか、実際に園児が食べているものをサンプルとして掲示し、園だよりなどで毎月の献立を配布しているとされています。

これらは、子どもが園でどんなものを食べ、どんな体験をしているのかを家庭に伝える役割を果たします。試食会で親が実際の味を知れば、家庭での会話も具体的になります。今日は物語給食であの絵本の料理が出たんだね、といったやりとりが生まれれば、園での体験が家庭にも広がっていきます。食育を園と家庭の共同作業として捉えている点は、保護者にとって心強いところです。

食育については政府広報サイトからも記事が出ており、教育において重要だという事が分かります。

「食べる力」=「生きる力」を育む「食育」。実践の環(わ)を広げよう

給食を「学びの時間」と捉えるということ

こうして見ていくと、こどもの森グループの給食は、安全でおいしいという土台の上に、体験と学びの層を丁寧に積み重ねていることがわかります。毎日変わるメニューで食を楽しみにする気持ちを育て、物語給食で想像力を刺激し、世界と日本の料理で視野を広げ、クッキングや手伝いで自分ごとに変え、家庭ともつなげていく。それぞれの取り組みが、食べることを単なる栄養補給ではなく、心を動かし世界を知る時間へと変えています。

園えらびをするとき、給食の安全や栄養はもちろん大切な判断材料です。そこに加えて、給食を通じて子どもの感性や好奇心をどう育てようとしているのか、という視点で園を見てみると、その園が食というものをどれだけ豊かに捉えているのかが見えてきます。毎日の一皿が学びの時間になっている園で過ごす六年間は、子どもの中に食を楽しむ土台を静かに育てていくのではないでしょうか。

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